【次男と対面】
長男は未熟児のため、そのまま保育器の中で
検査が続けられた。
次男は1時間くらいして、
ついに個室に来た!
「ぉんぎゃ、ぉんぎゃあ」
ほんとに「おんぎゃあ」って泣くんだ。
へぇ。
猿みたい。
正直、そんなかわいくないな。
でも、うれしいな。
「抱っこしますか?」
「はい。」
うわ、軽い。こんな小さいんだ・・・
壊れそうで、怖い。10秒くらいで
看護婦さんに返した。
しばらく病室で団欒。
そのうち、妻の麻酔が切れだし、
痛がり出した。
どうやら、手術が終わって病室に戻ってきた直後、
本当は激烈に眠かったらしい。
そこで寝なかったのは失敗だった。
ご対面とか、家族の団欒のシーンを夢見るのもいいが、
ここは妻の体力を考え、すぐに寝かせてあげるのが
正解だったのかもしれない。
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【長男と対面】
次の日病室に行くと、
妻の手足が青あざだらけで、ぶくぶくにむくんでいた。
気持ち悪いくらいだった。
理由は忘れたが、背中やら腰やらが
死にそうに痛いらしい。子宮が収縮するから、
とか言っていた。
出産直後の母親もまた、本当に大変なのだ。
次男は元気だったが、
長男はやはり、当面入院らしい。
小児科病棟に面会に行った。
集中治療室みたいな個室に入れられていた。
手を消毒し、白衣を着て部屋に入った。
保育器の中に、長男はいた。
・・・ほんとに、ほんとに小さい。
手のひらに乗りそうだ。
鼻やらに管が入っていた。
これで大丈夫なのか?
「保育器の中に手を入れて、トントンしてあげて
ください。父親ってわかりますから」
分かるわけないだろ。なんてヒネつつ、
触ってみた。
うわ、柔らかい。
もう、信じられないくらい、弱弱しい。
かつて経験したことの無い、不思議な気持ちだった。
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【心拍欠損症】
長男の心臓に、穴が開いていることが判明した。
心拍欠損症。
自然にふさがることもあるが、ふさがらない場合、
手術の可能性もあるとのこと。
肺炎などの思い病気になったりすると、ちょっと怖いけど、
急にドウコウってことはないので、
しばらく様子を見ましょうとのことだった。
周りは結構心配したが、友人にいまだに心臓の
穴がふさがっていない奴がいることもあって、
私的にはそれほど深刻には
考えなかった。考えてもどうしようもないから。
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【次男退院】
妻と次男が退院した。
しばらくは、妻だけ実家にお世話になることにした。
私の周りの人間(夫)は、オムツを変えない人が圧倒的に多い。
しかし、うちの場合双子なので、これはやらざるを得ない。
ってことで、練習した。
これからしばらく寝れないんだな、大変だな。
さ、帰ろう。
と思ったら、実家の母親に泊まる事を勧められた。
まぁ、初日くらいは泊まるか。
いやいや、よく泣くな。
真夏で暑いということもあったが、
全然眠れない。
オムツ替えたって泣き止まない。
抱っこしても寝る時は寝るが、寝ない時は寝ない。
生まれて1週間の新生児って、抱っことかそういうものじゃなくて、
フィーリングで寝ているんだ。揺らしたりするのは気休めだ。
なんて思いつつ、朝が来てしまった。
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【みんなで自滅?】
長男は、まだ力が弱くて哺乳瓶では飲めない。
だから、おっぱいをあげるしかない。
つまり、私は、いなくてもいい存在なのだ。
そりゃまぁ、ずっと一緒にいてあげた方が、
妻はうれしいだろう。
でも、何も二人で苦労する必要は無いのでは?
だって、昼間は俺、会社だよ?
別に遊びに行っているわけじゃないよ?
昼間は、妻は寝て、両親が子供の世話をしている。
だから、体力的になんとかなる。
お・・俺は!?
向こうの親は、北国育ちのせいか、
とにかく「みんなで苦労」したがる。
無駄が嫌いな私から見たら、
「馬鹿馬鹿しい」としか言いようが無い。
なにかあるたびに、「この暗闇の中、みんなで頑張って
かすかな光を求め、なんとか乗り越えていくしかないんだ!」
とか精神論を説く。いや、もっと効率的に乗り越えていった方が
いいでしょ。
私はスポーツスクールも通っていたのだが、それも
やめさせられた。
1週間の間、ほんの、2時間弱、健康維持、ストレス解消のために
外出することも許されなかった。
これに関しては、何度か話し合ったが、
向こうの親はとにかく頭が固く、
また、妻も向こうの親についたため、
家を購入する時に続いて四面楚歌に陥った。
妻が向こうについた時は、さすがにショックだった。
子供のため。
それだけの理由で、スクールもやめた。
「自分だけ楽しむなんておかしい」
ってのが言い分らしい。私からすれば、
「全員で同時に苦労するなんて馬鹿馬鹿しい」
と思う。苦労は交代交代にし、負荷分散すればいいんだ。
なーんだよ、1週間のうち2時間弱、スクールに行くのが
何が悪いんだよ。「そんなの親じゃない」とか行っているけど、
それでストレスためて運動不足にもなって寿命縮めてりゃ
本末転倒じゃないのか?
20年以上続けていたスポーツをやめたことは、
2年経った今、本当にこたえている。体が弱くなったし、
駅の階段を上っただけで、息切れがするようになってしまった。
これが今も思う、父ちゃん最大の愚痴だ。
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【通院】
弟は実家、兄は病院ということもあって、1日1,2回、病院に通う
生活が続いた。私は基本的に昼間は会社だが、
夜はなるべく顔を出したし、土日も必ず行った。
当時とても驚いたのだが、母乳を病院に
持って行かなければならないのだ。
最初のうちはなかなか母乳も出ず、苦労したが、
ホクソンの搾乳機というものをレンタルしてから
状況は変わった。
こりゃすごい。まるで牛の乳搾りだ。
本人曰く、全然痛くないらしい。
購入すると、何万円もかかるが、レンタルだと
乳首部分などの消耗品だけ買えばいい。これは2,3千円だったと思う。
これは、最初の半年くらいは使用した。
が、そのうち、止まらないくらい、いつでも大量に出るようになったため、
返却した。
病院では長男は、食が細い。だいたい20ml飲めばいいほうだ。
目標、2000グラム。そこに達したら、なんと、すぐ退院だそうだ。
とにかく早く大きくなって・・・
そう願いつつ、毎日通った。
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【名前付け】
私たち夫婦は、追い込まれないと動かない。
名前をつけるのも、結局区役所の、締め切り1時間前に決まった。
その前から一応、本を読んでだいたいの目安はつけていたのだが。
ここでまたしても事件が。
ババに名前を告げたところ。
そんなのやめなさい!
ちょうどその頃、ある子供が殺害される
事件があった。その子供と偶然同じ名前だったのだ。
「なんでそんな名前つけるんだ、本当にあんたたち親か?
信じられない。子供を不幸にする気か?」
この台詞を思い出すたび、いまだにハラワタ煮えくり返る。
「あー親ですわ。子供を不幸にする気なんかさらさらないですわ。
じゃなにかい、あんた、今まで殺害された子供の名前全部チェック
してデータベース化して名前決めるんかい? こいつらは
xxx(なくなった子供の名前)じゃなく、xxxx xxxだ!
苗字も違うんじゃいボケが!」
と、言いたかったが、ここでも私は我慢した。必死に説明するも、
とりあってもらえない。妻も泣き出しそうだった。
・・・普通なら徹底抗戦するが、実はこの時期、私はもはや
睡眠不足でかなり参っていた。そして、途中で折れた。
決めていた名前の後ろに、もう一文字追加することにした。
睡眠不足が解消されてからは悔しくて、
いまだに夜中に眠れなくなる。
俺は、この子たちの名前を守ることもできなかったのか・・・
情けない・・・と。。。
ババの気持ちもわからなくもないが。
そんなこと言ってたらキリがないわ、まったく。
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【長男退院】
次男が退院してから2週間程度。
ちょうど2000グラムくらいの時、
次男も退院した。
さっさと家に戻れ、というような雰囲気が、実家に漂っていた。
家を買ったところまでは、
何でも手伝えるから近くに買いなさい、
と言っていたが、二人を同時に育てる体力が、
さすがにないと悟ったのだろう。
そんなもんだ。 |